ひとりごと




4月某日


エイプリルフールです。
(…って、ぜんぜん“某日”ぢゃないじゃん)
というワケで、なにか気の利いたウソでも一席…



…とはいうものの、いざ「ウソをいうぞ」と身構えてしまうと、なかなか適当なウソも
想いつきません。
普段ならば「実は頭がオカシい」「実はメイドが好きだ」「無免許で高速に乗ったら
財布を忘れていて云々」等々の巧妙かつ大胆なウソを考え出す、ワタシの中の
6人目の人格(仮に『No.6と呼びます』)も、まったく振るいません。
なんか考えだせ、とせっつくのですが「ウソって最初から断ってつくウソなんてモン
面白くもなんともねぇじゃん」と、ぜんぜんやる気なしです。そうやって押し問答を
してるうちにNo.3(ベタネタ好き)やらNo.5(猟奇的)やらも出てきてしまって、
くだらない事を頭の中でぐちゃぐちゃと囁いたあげく勝手に自分らだけでウケて
盛り上がる始末。収拾がつきません。
こいつらが出てきたときにはたいがい頭に物理的な衝撃を与えると引っ込むこと
が多いと経験上わかっていますので、いつものように柱に思いっきり3回頭突きを
してみました。案の定全員引っ込みました。

仕方がないので自分だけでなにかウソを…と考えるのですが、どうもロクな考えが
出ません。だいたい本来の自分(の人格)独りでは、ワタシは全くもって無力です。
以前もある男に自分(の人格)では気の利いたジョークのつもりで「実は薬物中毒
だったんですぅ」などといってみましたが、全くウケませんでした。
まるっきり「わかっとるわ」という顔をされてしまい、非常に悲しい思いをしました。
そもそもあの男はクスリのバイヤーのクセに、後天的(ドラッグ)ジャンキーと先天的
ジャンキーの区別もつかないとは一体どういうことでしょうか。クスリは捌いてカネに
するものであって自分で使うものではない、というのがワタシの商売のポリシーで
ありますのに。つまり奴はずーっと、取引で会うたびにワタシをジャンキーとして見て
ジャンキーとして接していたということです。まったくもって失礼な話です。
奴も決して悪い奴ではなかったですが、そういう所にもう少し気が利けば、あんな
哀れな死に様を晒すこともなく、もう少し長生きができたことでしょう。

クスリで思い出しました。まだ今日はペットに薬はおろか餌もやってませんでした。
昨日調子が悪くて一日中寝ていたので、まる一日以上なにもやってないことに
なります。可哀相なことをしました。
こいつは飼いはじめて半年くらいになりますが、最初は逃げようとして噛んだり引っ
かいたり大変でした。最近はさすがに環境にも慣れ、また薬もよく効いているようで、
大人しくなり、よくなついています。一昨日の夜遊んでやったときのままで、ちょっと
汚れていたので、綺麗にして着替えさせました。
さすがに現役の歳だけあって、セーラー服がよく似合います。いままで着せていた
看護婦の制服も決して悪くはありませんでしたが。


…結局、ウソを全然思いつかないまま一日過ごしてしまいました。やっぱり自分は
あまりに正直すぎるようです。もう少し遊び心でもあれば…困ったものです。



…一応改めてお断りしておきますが、本文は全部ウソです。
いや、部分的に本当の内容も混ざってはいますが、大部分ウソです。
本気にしないように。

…てゆーか、引かないように。

ああっ、ちょっと待って…

待ってったら…

おーい




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